【失敗と退去後の敷金返還について】

つい最近ですが、依頼者の期待に応えることができなかったことがありました。

その案件は、退去後数年経っており80万近くの退去費用を請求されていました。

管理会社の精算書のみで差し引くと50万円近くに減額できることが判明しましたが、あくまでも敷金診断士が作成した査定書は裁判資料となるが、管理会社がその内容通りに判断するかは任意で、裁判を起こすことになることも考えられると伝えたら、それ以降連絡が無くなってしまいました。

もう少し説明に配慮をするべきではなかったかといまでも思っています。

そんなことで、退去から数年たってからの原状回復の査定の難しさについてお話したいと思います。

数年経過してからの原状回復の費用負担の見直しで、最大の難しいポイントは退去時に合意が成立していることです。

これは、退去時に管理会社の精算に納得して署名捺印をしていることから、裁判になったとしても裁判官は合意したことを覆すと判断するので、その点を聞いてきます。当然、敷金診断士が作成した査定書は証拠として採用されますが、合意したという事実は大変大きな意味を持ってしまいます。

次に難しい点として、数年たってからの査定書作成で、退去時の原状が判断できないことです。

管理会社から指摘された箇所の画像等があれば状況判断できますが、そういったものがなく単に管理会社からの精算書のみで査定するのはとても困難であり、当社で見るのは壁のクロスと床の経過年数を考慮した精算をしているかになってしまいます。

また、査定書を作成して管理会社に提出しても、その査定書の通りの管理会社が対応するかどうかは管理会社によって異なり、管理会社が対応しなければ、退去者が裁判をすることになります。裁判といっても手続きはそれほど難しくなく本人自ら行うことはできますし、裁判になれば勝つ見込みは大いにあります。

ただ、先ほどの様に合意したことを覆すことになるので、その理由は聞かれる可能性が高いということになります。

敷金の返還は10年の時効がありますので、退去から数年たっても敷金に関する取戻しは理論上できますが、どのようにしたら過大な請求から逃れるか、そのことについて次回投稿します。


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