【マンション管理の基礎講座 3限目】

今回のテーマはマンションの役員 理事長・理事編です。

多くのマンションでは、理事長・理事(以下「役員」)は輪番制となっており必ず回ってきます。しかし、多くの組合員はなすがままという感じで、役割を把握せずに任期を全うすることがほとんどです。そのため、理事長や理事が何をするのか事前に知っておくことが重要です。
それでは、理事長と理事の役割をお話しましょう!

1.理事長と理事の役割

規約に、理事長は管理組合を代表し、その業務を統括する。など記載がされています。つまり、管理組合の契約ごとだったり裁判をする場合に管理組合を代表することになります。無論、書類に印鑑を押すのも理事長の役目です。
次に、理事とは規約に、理事会を構成し理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。と記載されています。つまり、理事会に参加して意見を言い、管理組合の活動を担っていきます。

ここで、私が住んでいるマンションには、会計担当理事や副理事長がいるという管理組合さんがいると思いますが、その役割は概ね以下の通りです。

・会計担当理事‥‥理事長が行う出納関連の業務や通帳管理を理事長に変わって行う理事
・副理事長‥‥‥‥理事長が、職務ができないときに理事長を代行する理事
・防災担当や各種担当理事‥‥管理規約の定めによる役割を担う理事 ※大規模マンションや団地型に多い理事

2.監事の役割

監事の業務は会計監査と理事の業務監査です。監事は理事と異なり総会を開催権利を持っています。規約上では権限はとても強力ですが、実務上では総会前に請求書や報告書を確認して判を押す立場が目立ちます。
理事会に出席する義務があり発言する権利はありますが、議決権はありません。

3.役員の任期について

役員の任期は、1年で役員全員が交代することが圧倒的に多いと思います。この1年が良いかというと個人的には好ましくありません。
理想は、2年で半数を交代することです。その理由は、1年の任期だと理解して役割を分かりかけたときに任期を満了し、次の役員に回ってくるまで十数年とかかかる場合があり、役員になったときは前の時と同じ状況になってしまう恐れがあります。2年で半数が後退する場合は、残りの役員は前回のことをそのまま引き継ぐので、新しい役員の方々に状況の説明ができるし、何より前回の役員が残っているということで新しい役員は安心して役員の業務を行うことができるからです。

こういったことから理事等の役員は2年の任期で半数を交代させる形を推奨しています。

4.役員が回ってきたら

役員が回ってきたときは、いろいろな問題に向き合わなければなりませんが、その一方でマンションの環境を自分が望むものにできる機会でもあります。
例えば、エントランスに手すりをつけたり、ゴミの集積所を新しくすることです。
理事会で決定したことが総会に承認をもらうことになりますので、マンションの価値を高める改修工事の企画を理事会で提案し、その提案が総会で承認されれば実行することができるので、一番自分の意見を反映させることができるタイミングが役員なのです。
役員はだれしもなりたくないものですが、役員になったらなったで恩恵を受けれる立場ということを理解しましょう!

5.最後に

役員は輪番制なら順番に回ってくるものですが、どうしてもやりたくない組合員もいらっしゃいます。役員の担い手不足はマンションの問題のひとつです。
やらない組合員がいると役員をやっている組合員とで不公平感が出てしまうので、あらかじめ役員の欠格理由を管理規約に明記するなどの対策を講じたり、専門家に役員を委託する方法もありますので、管理組合の運営の在り方を検討する時代が来ていると感じています。